観劇感想『これまでとこれからのアラワレ / パッチワークス』 2018.3.24(sat)
松山市花園町のギャラリー花ゆうで、「『パッチワークス』と『きよしこのよる』の2つの劇団がそれぞれ30分の短編を合同で上演」を観てきました。
1本目パッチワークスの上演内容は、『いまさらキスシーン』。
あらすじは『部活に勉強、そして恋愛!全力総力フルパワーな女子高生の国道疾走青春一人芝居!青春は正に光陰矢の如し、駆け抜ける 30 分の全力総力フルパワーな言葉の奔流!パッチワークス初の既成台本上演!』(フライヤー記載抜粋。)
舞台には、セーラー服を着た小野カフカさん(劇団コバヤシライタ)ただ一人。それ以外に小道具等も何も無く、小野さんがひたすら動き喋りまくる30分。
小野さんは以前別の場所で観た舞台でも、とても魅力的な役者さんだなとは思っていたのですが、今回の作品では比喩ではない躍動感溢れる演技で、水を得た魚のように生き生きしているのが印象的でした。
パッチワークス・村山公一さんの作品を初めて観たのは、2017年10月に高知で開催された蛸蔵ラボvol.4での「0(サイファ)」という作品で、悲しくてどうしようもないので笑うことしか出来なかったのを今でも覚えています。
脚本は中屋敷法仁さん〔柿喰う客〕と言う方のもので、パッチワークスにとって初の既成台本。あのダークな雰囲気をまた観たいと願っていたのですが、既成脚本なら今回はお預けか…と思っていたら、案外そうでもありませんでした。
今回の脚本の元の演出が近いのか、もしくは全く異なるのか。原作を観てないので判断できないのですが、コメディに違いはないけどコメディだけで終わらない。
女子高生は部活・勉強・恋愛に全ての力を全力で注ぎ込み、見事に全て中途半端に終わる。
女子高生の理想はあくまで理想で、結局は見下し馬鹿にしていた部活の仲間たちと同じ方向へと向かっていく…といった、傍から見て気持ち良くは終わらせない物語でした。
今回の作品は、決して幸福な終わり方ではなく、けれど、こういう作品も演劇には必ず必要で、こういう作品を引き立たせるのが上手いのがパッチワークスだと思っています。『これから』行われるそれぞれの公演も、期待して観たいと思っています。