観劇感想『ボクらの魔法使いは』 2018.4.29(sun)
去年の『パラレる!?真夜中のどうぶつ園』を見逃して以来ずっと気になっていた、coup companyの公演をやっと観ることができました。
あらすじは、『彼はこの街の何でも屋。依頼されれば何でも引き受ける。人探しを除いて。ある日、10年ぶりに幼馴染に会いに行くと、そこには変わり果てた友の姿が…。そして、友は願う。「魔法使いの元カノを探してくれないか!」彼はこの奇妙な依頼を引き受けるのか?それとも…』(パンフレット記載抜粋)
マキマキ、マッキー、マキ社長…様々な呼び名が交錯するものの、皆が探し求めているのは『マキ』という女性。そして、幕が上がった一番初めに、公共の場でイチャついているカップルの女性が『マキ』と呼ばれている。そこで「もしかして、この人が…?」と思った瞬間から、脚本の罠に嵌っていました。最後にわかったとき、少し悔しかったです。
お金にがめつい飄々とした万屋。変わったあだ名で呼び合うバカップル。ストイックなアイドルと献身的なマネージャー。アイドルオタク。借金取り二人組。うさ耳をつけた幼馴染。兄の挙動に心配な妹。オカルト雑誌編集者。約2時間という時間の中で、本当に様々な人間が飛び出てくる。だけど、それぞれが持つ個性が誰かによって最後まで消えることもなく、その一人一人にスポットが当たって物語が進んでいくのが凄いなと思いました。
また、シリアスに見せかけたシーンが笑えるようになっていたのも、ただただ感心しました。
脚本が面白いので、もしかしたら役者自身も、笑いを噛み殺すシーンが何度かあったのでないかと思います。けど、役者はひたすら真剣に演じ続けている。だから、観る側は面白い。
そんなの、役者なのだから当たり前だと思うかもしれないし、回数こなせば流石に慣れると思うかもしれない。ただ、台詞を読んで舞台の上に立つことは誰でもできるかもしれないけど、それに上乗せて、各人物が背負っている設定を違和感ないように役者自身が動かすのは、やはり高度なことなのではないかなと、今回観て改めて感じました。
こうだろうか、ああだろうか、と考察しながら観る作品も好きですが、久しぶりにシンプルで楽しい作品が見られて良かったです。