観劇感想『ライフレッスン』 2018.6.17(sun)

 

あらすじ。『母親の家出と愛犬の死によって心に傷を負った少年は、父親に対しても素直になることが出来ず、ガレージに閉じこもる。そして彼は、生きる事と、その先にある死への不安と向き合っていく。 もしもし、僕は誰かとつながっていますか?大事な人が消えていく度に、大事な物が消えていく度に学んだ、生きていくためのライフレッスン。』(フライヤー記載抜粋)

 

開演前に目に入る舞台は、まるで秘密基地のようなガレージが再現されている。が、役者が出入りする道は舞台装置で塞がれていた為、役者はどこから登場するのか?観客席からか?と考えていたら、からくり屋敷のように壁の一部が回転したり、突き抜けたりと、子供心が刺激される登場の仕方で胸が踊ります。

今回観たのは、出演者の半数以上が子供役である物語。子供ならではの拙さとか純粋な部分などの表現が上手くて凄いなと感心してしまいます。

少年と少女が10年ごとの自分達を演じていくシーンがあるのですが、歳を重ねていると一目でわかる細やかな演技につい見入りました。

 

少年(息子)と話したい父親と、あまり話したくなさげな少年。

物心ついた頃から、父親に話したところで共感も同意も得ず、「間違っている、何故そうなるんだ」と非難され続け、結果、今回の事件(母親と愛犬について)で、自分は間違っている、飽きられた(必要の無い)と思い込んでいるのではないかと、父親の姿を見ながら勝手に想像してしまいます。

父親からしたら、大切な子供が将来的に惨めな姿になるのを見るほど辛いことはない。だからこそ、そんな姿を見たくない故にああしろ、こうしろと無難な道を指し示そうとする。  

見ていて、父親のその言動の理由を理解はできるが受け入れがたいのは、私が親になった経験もなく、少年のようにまだまだ未熟な人間だからかもしれないな、と感じました。

 

希望ってなんだよ、と進むことを躊躇い立ち止まっていた少年が、生きることに飽きず最後には一歩踏み出そうとしていて本当に良かったです。