観劇感想『SKYROCKETS』 2018.7.8(sun)

 

 あらすじ『スカイロケッツ それは青春へと打ち上げられた思いでのひととき。それは青春にとって大切な、とても大切なひととき。純也くん。裕孝くん。栄治くん。香澄ちゃん。千佳ちゃん。…私、スカイロケッツが本当に楽しかったよ? これは みんなが思っているのとはちょっと違う 青春の物語。』(パンフレット記載抜粋)

 

 青春という単語を聞いて連なって出てくる単語と言えば、仲間や希望や夢や恋など、(私にとって)眩しくてむず痒いものが出てくる。けれど今回観劇した作品は、そんなイメージとはまた異なる青春、という印象だった。

20代前半の彼ら彼女らは『ノベルゲームを完成させる』という夢を掲げ、叶える為にそれぞれがそれぞれの技術(シナリオ・BGM・グラフィックetc…)1つの作品の為に注いでいた。だがある日を境にそんな日常が少しずつ崩壊していく。

 

 舞台装置は細やかな部分が表現されているのに加え、今回は上手と下手にそれぞれ青いパネルが設置されていて、異なる色の照明が当たる度に青と混ざった色が浮かびあがって綺麗だった。

役者陣は今作品の世界観に近い年齢層だからか、無理に背伸びしているようには感じず、生き生き伸び伸びとしている印象で、こちらにも演じる楽しさが伝わってきた。

 

 栄治がシナリオを書いている初めは『明良は理恵(双方ゲームキャラクター)に想いを伝えないまま物語は終わる』という結末だったのに、千佳という存在が栄治を変えた。今まで知らなかった感情を教えてくれたが、その感情をどうコントロールしていいか分からず、ただ直感的に、自分と、自分と重ねてしまった明良に、後悔したくもさせたくもなかった。だから、皆に迷惑をかけることは重々承知の上でシナリオを変更し、『告白させる』というエンディングを貫きたかったのかもしれない…と、私はそんな風に感じた。

 

 甘酸っぱいというよりは、ほろ苦い結末ではあったものの、あの経験が彼ら彼女らのこれからの人生にとって決して無駄なものでは無かったと思いたい。と思える作品でした。