観劇感想『報われません、勝つまでは  土佐弁ver.』 2018.3.25(sun)

 

会場に入れば、『ここは男子運動部の部室です!』と主張が激しい舞台が目の前に広がる。しょうも無い落書きのあるロッカーや床に散らばるゴミに、乱雑に置かれた段ボール。清潔感のかけらもなく、むしろ男子運動部の汗臭さすら漂ってきそうな舞台。

 

あらすじは『冬。県内トップクラスの名門ハンドボールチームがインターハイ予選決勝にて、大敗を喫する。試合会場から意気消沈して部室に帰ってくる選手たち。敗戦の落胆もあり、ミーティングが次第にケンカに変わる。今まで心の内に秘めたメンバーに対するそれぞれの思いが、除々に吐露されていく。崩壊寸前のチーム。そこへ対戦相手のエースがやってきて…』(パンフレット記載抜粋。)

 

この作品は、現役高校生版と、かつて高校生だった者たち版(以下:現役版/かつて版)2グループが、ほぼ同じ内容のものを交互に公演していくといった、私は初めて観るスタイルの作品でした。

現役版とかつて版の大きな違いは、演じる方々の年齢と経験。

現役版の演劇経験はかつて版メンバーに比べて浅いだろうと思うものの、ほとんどが生の高校生。無理に演じることも偽ることも無く、ありのままの自分を出していけばそれが演技に反映してきて、自然と今しか無い時間を表現している。実際観ていて、かつて版に比べると初々しく新鮮で、部員同士の距離感やいじり方や話し方が(当たり前ですが)高校生そのまんまで、まさに男子運動部の日常を観ているようでした。

かつて版の演技力は凄まじいもので、最初から最後まで見た目は変わらないのに、やりとりが高校生に見えてくる。もしかしたら、精神面を高校生に寄せているからかもしれない。運動部特有の泥臭さや汗臭さが伝わってきて、余裕があるのか遊びも加えてくる。殴り合いも容赦なく、女子の着替えも恥じらい無く覗く姿は、何かと吹っ切れた大人ならではの表現だったように感じました。

 

 

最後は円陣を組み、かけ声を合わせる。その行動は崩れかけていたチームの関係を修復して、前よりも頑丈な絆にしているかのようで。そういうことができる男子が少し羨ましいなと思ったりする、熱く面白い作品でした。