観劇感想『「音」で楽しむ昔話』 2019.2.24(sun)
『重信の昔話を手作りの効果音で楽しもう!視覚障がいの方もどなたも楽しめるバリアフリーのリーディング公演です。』(フライヤー記載抜粋。)
公演のチラシもバリアフリーということで、文字や写真で作成したものと、点字版で作成したものの二種類を設置していて、どちらにも配慮されていた。
木の板や砂利やお椀や枯れ葉と、舞台に広がる様々な道具たち。物語を語る者、物語に登場する人物を演じる者、物語の背景に響く音を鳴らす人たち。声や効果音と「音」だけで表現していく。
舞台上に広がる効果音の「素」を見ながら「あの音はこれで表現しているんだ」と楽しみながら観たり、音だけに集中して物語の世界を楽しんだりと、同じ空間にいながらそれぞれ違う楽しみ方があって面白かった。
せっかくだからと私は目を瞑りながら物語に耳を傾けていたが、その場で作られる効果音が脳内で想像の景色を見事に映し出す。また、音だけを頼りにしていると演者の表情が見えない分、台詞の声色や強弱で心情を察しようとするが、目を瞑っていても表情が自然と浮かび上がる。
物語上で発生する音の他、観客側から聞こえる微かな物音や服の擦れる音など、普段舞台を観る時には気にしない音まで拾っている自分がいて、聴覚に頼って生きている人の世界はこんな感じなのだろうかと、普段は気にかけないことを気づかせてくれた公演だった。