観劇感想『千年の祈り』 2020.2.1(sat)
『河野正明は現代を生きる真面目で明るいサラリーマンであった。ある日病で失明し、人生を悲観。家族を残し死の道を選ぼうとする。そこに河野家の遠い先祖、河野道潮が現れる。道潮に勇気付けられた正明は、妻・香織の献身的な愛情もあり次第に前向きに。一方、源平争乱の時代を生きる河野道潮は、河野水軍を率いる水軍長であった。軍師・早雲、槍の名手隼人等と共に伊予の国を守っていた。野心家、山鹿秀遠率いる山鹿軍襲来で平和な暮らしが一変。家族や仲間を守るための決死の行動とは?』(パンフレット記載抜粋)
脚本を書かれたのは近藤誠二さん。劇団システムキッチンという劇団を立ち上げ、2018年に『あゆみ』(柴幸男さん)で旗揚げ公演されている。昨年公演された『松山グラフィティ』は自身が原作を書かれており、「明るく笑顔で前向きに、力強く生きていこう」というメッセージ性がある作品を好まれているイメージがある方です。
今回の脚本もぶれることなく、そういったメッセージ性が強い作品で、役者は松山市民ミュージカルに出演されている経験豊富な方々ばかり。演技も歌も上手くて、個人的には河野道隆役の方の歌声が好きでした。
伊豫之國松山水軍太鼓保存会(心参太鼓)や篠笛演奏家・阿部一成さんとコラボといった、他のミュージカルでは観たことのない組み合わせ。太鼓の演奏を初めてまじまじと観ましたが、複数の太鼓が一糸乱れぬ動きで合わさり音が響くのって、あんなに美しいんですね。『初めて』っていう要素も混じっているとはいえ、純粋に感動しました。
これが演劇だとか、これがミュージカルだとか、そういう固定観念って段々古くなっていくのかもしれない。形式を大事にするのは必要だけど、新しい可能性を広げて許容していかないと自分が置いてけぼりになるのかなとか、そんなことを考えさせてくれる作品でした。