観劇感想『パンドラの鐘』 2020.2.2(sun)
『物語の舞台は、太平洋戦争開戦前夜の長崎。歴史の謎に惹かれ、考古学者たちが掘り出したのは、土深く埋もれた巨大な古代の鐘。その鐘の姿から、歴史から遠く忘れ去られた古代王国と、鐘を一緒に葬られた古代の秘密が浮かび上がる。決して覗いてはならなかった「パンドラの鐘」に記された王国滅亡の謎とは?そして、古代の光の中に浮かび上がった<未来>の行方とは…?』(パンフレット記載抜粋)
劇団まんまるさん、劇団テアータさん、劇団orangecycleさん、創作集団ココロノコリさん、他多数の参加者で構成されていた今回の徳島演劇ネットワーク第7回合同公演。
広島の原爆資料館の資料や『はだしのゲン』が怖くて読めないくらい『原爆』や『戦争』に関する記述や表現が苦手で、正直身構えながら観始めました。さすがにただれた肌のような表現等は無く、中盤から終盤にかけて背筋が強張るくらいで、序盤は和やかな(状況は穏やかではないけれど)空気で進んでくれたのでホッとしました。
ただ、照明音響を生で感じるあの空間ならではのゾワッとする感覚は、紙や画面越しにあるリアルさとはまた違う気持ち悪さがある。
鐘らしい鐘は無い代わりにバイプレーヤー達が黒い布や長い棒で形造り表現していくとか、スローモーションで表現する側と普通に動く側の対比が綺麗だとか、それらは、あれだけの人数の役者がいるからできる表現方法なんだろうなと思いました。(女性陣が白い布を纏わせてしなやかに舞っている姿が個人的に好きでした。)
スポットライトの中心に立てる人物は限られていたけど、その周りを支える役者がいてこそ成立する美しさがそこにあったように感じる作品でした。