観劇感想『あゆみ』 2018.8.25(sat)

 

 劇団システムキッチン旗揚げ公演作品は、柴幸男の戯曲『あゆみ』。

『人は歩く 一歩また一歩 誰かと出会うために。これは、一人の女性の「平凡」で「特別」な、出会いと別れの物語』(パンフレット記載抜粋)

 

 この戯曲は複数の人間が一人の女性の人生をあゆみ描く物語、というイメージが私の中では強いのだが、今回の舞台には総勢22名の役者が、複数の役を持つもののそれぞれの役を持って自立している。

 人数が多いからこそできる、人混みという少しゾッとする描写や人間トレインという遊び心満載な表現。人生の悲しい出来事もあとあと思い返せば笑い話になったかのような温度に落ち着かせていて、心がチクッとする場面はあるものの、観ている側の気持ちが沈むことなく進む。人生の節目等で生歌が入るなど、所々でミュージカルを連想する。

 

 流れるように進んでいくものかと思いきや一つ一つの場面が濃く、あみの人生を丁寧に描いているが、その周りの説明が少し丁寧すぎるような気もした。

 プロジェクターで映し出される写真や、その場所その場面にマッチングさせた音楽。観客に対して「今ここはこういう場面ですよ」という優しい説明が多く、考えたり想像したりする労力は少なくて済む。けれど、『あなたの人生とリンクさせながら』と言うのであれば、逆にもう少し情報量が少ない方が想像力が掻き立てられるのではないかと、個人的には思う。

 もし個々に重なる場面があったとしても、どんな犬か、どの海かどの山か、それぞれの人生で経験してきた思い出はそれぞれ違うだろうからこそ、『想像する余白』みたいなものがあってもいいのではないかと感じた。

 

 などと、初めの一歩を踏み出したばかりの劇団に対して強請る部分が多いが、演技力のある役者ばかりだなと思ったからこそ、もっともっとと思ってしまった。

 

 次回はどのような戯曲を扱い(又はオリジナルか。)作品を創るのか、これから劇団システムキッチンが歩んでいく姿を楽しみにしています。